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春の訪れを告げる東大寺修二会(お水取り)3/1~3/14

まもなく、春の訪れを告げる一大法要が始まります。
今から1270余り昔に始まり、一度も途絶えたことのない不退の行法。
例年、東大寺二月堂で3/1から二週間行われる東大寺修二会です。

修二会と言われてもピンとこない方も、『お松明』または『お水取り』と聞けばどうでしょう? お松明、お水取り、修二会…。
通称を含め様々な名で通っているこの法要ですが、正式名は『十一面悔過(けか)』。
頭が混乱しそうです。

そもそも修二会とは、二月の法要と言う意味。 東大寺修二会は三月一日からですが、旧暦に直すと二月一日となります。
例年、東大寺二月堂で3/1から二週間行われる東大寺修二会です。

その始まりは、国が疲弊した奈良時代。
疫病が流行り、飢饉が頻発し、地震も起こる不安定な世。
当時の人々は、そんな災いの原因を“私たちが知らず知らずのうちに悪事を働き、罪を犯してきたからだ”と考えました。
だったらその悪事を仏さまに謝らなきゃいけない。
これが修二会の始まりです。

東大寺修二会の舞台は、十一面観音像を本尊とする二月堂。
つまり本尊の十一面観音に謝る(懺悔する)から、『十一面悔過』法要と呼ばれるわけです。

「懺悔なんて見たことない。大きな松明を振りかざすお祭りじゃないの?」
ニュースでは松明のシーンばかりが映るので、そう思う方がいても無理ありません。

しかしこの『お松明』は、本来法要の一作法。
私たちを代表して懺悔してくれる東大寺の僧侶が、夜お堂に入るときの明かり取りなのです。
実際に堂内で懺悔している様子は非公開。
その為お松明が有名になるのは理解できますが、試合よりも選手入場が盛り上がるのは少し不思議ですね。

特にこのお松明に多くの人が集まるのが、法要が終わりに近づく3/12。
この日は特別大きなお松明を振りかざし、迫力満点で選手入場を行います。

「なぜ12日だけ?」
実はこの日の深夜(正確には13日の午前1時半頃)に、全体を通して最も重要な行法の一つ『お水取り』が行われるから。
つまり本来お水取りとは、12日の深夜に30分ほど行われる短い行法を指すわけです。

その内容は、読んで字のごとくお水を取ります。
二月堂の前にある井戸から水を汲み、それを十一面観音に捧げる行法。

「なぜそんなことをするの?」
「なぜ初日にしないの?」
色々疑問はありますが、これには深いわけがあります。

始まりは奈良時代。
東大寺で初めて修二会を行ったとき、全国各地の神を招集しましたが、一人だけ来る気配がありません。
初日は来ず、二日目も来ず、三日目も来ず、とうとう十二日目になってやっと現れた若狭(現在の福井県)の神。
話を聞くと、どうやら釣りに夢中になりすぎて遅れたようです。

「そんなことで遅れるなよ。」
と言いたくなりますが、相当釣れたんでしょうね。
若狭の神は猛反省し、それから毎年3/12には二月堂前の井戸に若狭の水を送ることを約束したと言われています。

『お松明』、『お水取り』様々な別名が存在する東大寺修二会。
長きに亘り多くの人から支持され繋いできたからこそ、今も変わらず行が出来るのです。
今年は、奈良で春の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、本年のお松明拝観は一部制限されることとなりました。
詳しくは、(東大寺の公式サイト)をご覧ください。

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