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若草山のそよ風に誘われて…若草山開山

山に囲まれた海なし県、奈良。
幼い頃から盆地の中で生活してきた奈良県民にとって、山は特別です。

金剛山、三輪山、生駒山…
有名な山は数多くありますが、中でも若草山を知らない県民はほとんどいません。
奈良公園の一角、標高342mのなだらかな山。
綺麗な芝が青々と輝き、季節ごとに様々な表情を見せる県を代表する名山です。

そんな若草山には、冬季のみ閉山している期間があります。
雪も降らず路面が凍結するわけでもない若草山に、なぜ登れない時期があるのでしょう。
それは若草山に、冬の行事『山焼き』があるからです。

山焼きは、読んで字のごとく山肌を覆う一面の芝に火を付け燃やす行事。
山頂にある古墳の霊を鎮める為だとか、周辺の寺同士の領土争いが発祥だとか様々な説がありますが、現実的には芝の保護が目的でしょう。
芝の生育を邪魔する雑草や害虫を除去し、春の新芽が綺麗に成長するのをサポートしているのです。
1月後半に芝を焼く為、その前後の期間は入山できないわけですね。

そんな若草山は3/19に山開きがあり、12月の第2日曜日まで
若草山に入山できます。

少しずつ芝が芽吹き、薄い若芽の絨毯が広がる3月。
まだ青さは足りないかもしれませんが、春を感じるおすすめスポットです。

さらに注目すべきは、若草山の芝の種類。
ノシバという日本の固有種で、全国でも若草山を含むほんの一部でしか生育できない芝なのです。

「芝なんてどこでも育つでしょ?」
そう言いたくなりますが、ノシバの種は固い殻に覆われていて、普通に撒いても発芽しません。
つまりノシバが群生するためには、固い殻を剥いたり、柔らかくする作業が必要。
そんな途方もない作業、どれだけ人を導入しても出来るわけもありません。

そこで活躍するのが奈良の鹿。
鹿がノシバを食べると、当然種も一緒に胃に入ります。
鹿が食した種は胃液で半分溶かされ、柔らかくなってフンとして若草山にバラまかれるわけですね。

若草山は古来よりこのサイクルを繰り返し、ノシバの貴重な群生地となったのです。
つまりノシバと奈良の鹿は一蓮托生。
どちらも欠けてはいけない奈良の象徴ですね。

当館にお越しになる際は、若草山にもお立ち寄りください。

開山期間:3月第3土曜日~12月第2日曜日
時間:9:00~17:00

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